質疑内容(2022/05)

今後のスケジュール、手順について


Q.昨年6月の区による住民説明会時点の計画から比べると、区の提案が変更されており、感謝している。本計画の今後のスケジュール、手順はどうなっているか。工事の一部が今年度中に開始され、校庭の一部が使用不可になる可能性もあるのか。


A.区としては、耐震工事及び計画図設計の予算を取得したので、一刻も早くこれらの作業に着手したいが、区議会から意見が出て、自民党からも意見書が出されているため、その意見書で出された条件をクリアしたことについての区議会での確認を経ない限り、着手できない状態。区としては区議会の確認を夏頃に取得するのを目標にしていると見受けられる。芝生を剥がす時期について、区としては当初は夏休みを希望していたようだが、それが難しくなってきているため、冬休みを次のターゲットとしている模様。仮に工事が始まった場合、工事車両等が校庭内に入るため、校庭の活動が制約を受けることになる。


時間的余裕について


Q.夏頃にも計画が進む可能性があるということだと、我々としては時間的余裕はないということか。


A.PTAとしては十分な対話がなされたという認識ではない。数年かけて対話が行われた若林中や北沢小の跡地活用の際と比較して不十分であるからである。学校はスポーツ活動や災害時の避難所としての地域交流の拠点として活用されていることから、区自身の方針として、「学校跡地を活用する場合、まず地域住民と対話をして活用方針を定めるべき」というものがあるが、今回のケースはその方針に則っていない。本来は三位一体の方針を決める前に対話が行われるべき。従って、PTAとしてアンケート等で意見集約をして住民の意見を伝える時間は確保されるべきで、それに対して区がどのような反応を示すかという問題と認識している。


計画案の変更余地について


Q.PTAや地域住民が意見を伝え、それに対して区が計画案を変更する余地もあるということか。


A.区の担当者は、これが最大限の譲歩案であるという説明をしているが、状況次第では、更なる譲歩・変更の余地はあると思っている。


地域住民説明会について


Q.来月の住民説明会も区が計画を変更するための大事な機会と考えておくのがよいか。


A.ご理解のとおり。なお、区に対しては、耐震工事や事業者募集を開始するタイミングと校庭の具体的利用内容を決定するタイミングをずらしてほしい、という意見も伝えている。「校庭の具体的利用方法は新規事業者が決定する」という構造であることから、事業者が決まってから、校庭利用のあり方について協議をするのが双方にとって良いためである。これに対して、区としてはそのような進め方は一般的ではないということで同意していない。耐震工事は先に進めるにしても、芝を剥がす工事等は事業者が決定し、協議がなされてからという案も真摯に検討されてしかるべきと考えている。


誰が何の目的で進めている計画なのか


Q.そもそも区の計画は、納得できるような内容ではない。区議も同意見と思われる。そもそも、区側は、誰が何を目的として本計画を進めているのか。区のロジックを知った上でないと、計画をストップさせることは困難ではないか。


A.ものづくり学校に先進的な事業者が入居したり、地域コミュニティの活性化(池尻ロマンス座、パン祭り等)等で一定の効果・話題性はあったが、創業支援・産業活性化に寄与したかという観点でいうと失敗ではなかったか、というのが区議会議員の見解であり、区も、一部認めている。より社会的課題の解決や産業活性化の実効を高めていくために、今後はKPIを設定するようであるが、そのための一手段として、校庭・体育館も一体活用して同じ賃料で貸し出すことで、よりよい事業者を呼び込み、実効性が高まる、というロジックと思われる。そのロジック自体にも問題はあるが。


計画が強行される場合にはどうするのか


Q.基本的にPTAとしては、10:0に近い形で、従来通りに校庭が利用できるように計画を変更させることを目指していると理解しており、7:3の譲歩案でも承服し難いと思うが、この内容で区が計画を強行しようとしてきた場合に、どのように抵抗し、阻止する予定なのか。


A.まずは、改めて保護者アンケートを取り、その結果を区に伝える。引き続き多数の保護者が反対である場合には一定の効果があると思うがそれだけでは不十分。そこで、区議の助言もあったのだが、再陳情を提出するという方法もある。今回の陳情が区議会で採択されなかった理由は、「従来と同様に校庭・体育館を利用可能な形で計画案を変更すること」という要望が強すぎたという点があるため、同じ内容で再陳情をするのは効果的ではないと思われ、これまでの区議会での区議の意見や区との対話を踏まえた上で、的を絞った要望を再陳情として出すことが重要と考える。また、時間をかけて、周辺小学校のPTAの協力を得るなどして、再陳情書への賛同者を増やすことも有効と思われる。


区は意見を聞く姿勢はあるのか


Q.区議会での意見では「全庁的な対応をすべき」というものもあったが、6月の説明会は、相変わらず本件の推進担当である経済産業部が行うということであり、区の体制として、本当に計画の見直しをしようとしているのか疑問に感じる。推進派の経済産業部と議論をしても実のある協議は期待できないのではないか。そもそも、必要な校庭の面積が示されない中で、よく予算の積み上げ・成立が実現できたものだと驚いている。住民への説明も回避して成立させた予算があるからこのまま進めたい、という態度は、区議会の意見を区が十分に受け止めていないという感触を持った。PTA側としては急ぐ必要はないと思われるものの、本計画が全庁的な対応に発展する可能性はあるのか。


A.「全庁的に検討すべき」という意見への対応につき、経済産業部と確認したところ、区長の参謀的組織である政策経営部には話をしている、という回答であった。一方で、スポーツ推進部やみどり33推進担当部等とは十分な協議をした形跡は見られない。区が、区議会の意見を真摯に受け止めているのかはご指摘のとおり疑問。確かに、経済産業部を相手に同じような協議を継続しているだけでは事態は打開できないかもしれないが、住民の声をより分かりやすく伝えれば、対応が変わる可能性はあるかと思っている。全庁対応になる可能性はきわめて低いかもしれないが、7:3の譲歩案を区が出してきたのは陳情があったからだと思う。現状、経済産業部側は「譲歩案を出してでも早く進めたい」という考えと見受けられるため、例えば、仮に「これさえやれば理解します」と住民が言ってみれば、物事を早く進めたいがために区がさらに譲歩をする、ということはありえなくはないと考えている。


ものづくり学校の土地の所管について


Q.昨年の説明会ではものづくり学校は東京都の所管であるという話であったと思う。そうした中で区を経由して協議をすることの意味はあるか。


A.当方の理解では校庭・校舎は区の所有で、区の内部で用途変更をしようとしているもので、区で完結する話と認識しているが、改めて区に確認をしたい。なお、かもめ保育園の土地は国有地であるという話もある。ものづくり学校は経済産業部、第二体育館はスポーツ推進部、校庭は教育委員会が所管と認識している。


区は何故計画の推進を急いでいるのか


Q.PTAのこれまでの情報提供や区との交渉に感謝している。区の担当者が急いでいる背景・要因として感じ取っている部分はあるか。


A.5月にものづくり学校との契約が終了し、入居事業者が退去し、空き家となるため、それが治安面で問題となることを回避したい、という事情があるようで、それは正当な理由だと考えている。来年春には選挙があるため、区長としても選挙前の目玉実績の一つとしてアピールしたいのかもしれない。 計画を推進することが使命として捉えている感じもする。自民党は、池尻のような一等地はそれに相応しく、しっかりと使用すべきという意見で、他の用途での活用提案をしていた事情があることから、早く次の事業者を決めて、自民党から改めて別の提案を受けるのを回避したいと考えている可能性もある。


子どもたちが得られるメリットはあるのか


Q.池小の子どもたちから見れば、校庭が半分程度になってしまうが、その代わりに子どもたちが得られるメリットはあるのか。


A.現時点では、区から、子どもたちにとっての(具体的な)メリットは示されていない。1点、新事業においては、より子どもの学びに資するような場にしていきたい、との区の担当者のコメントはあった。


教育目的で活用中の施設を用途変更して、他の用途で活用したモデル事例等は存在するのか


Q.他の地域では、廃校活用の際に事前に地域住民の声を聴く機会があったとのことである。今回のケースは、現に活用している場所を経済等の他の目的で活用しようとするものであるが、このように、教育目的で活用中の施設を用途変更して、他の用途で活用したモデル事例等は存在するのか。


A.そのような過去のモデル事例は把握しておらず、区からも説明は受けていない。ちなみに、区が参考事例としている池袋のイケ・サンパーク(チャレンジショップ等もある公園)は、旧造幣局の跡地で活用されていなかった状況のものが、地域住民の声を受けて開発・整備されたという経緯があり、また、立地としてもサンシャイン池袋の近接地であり、池尻中跡地のおかれた状況とは異なる。区や区議会の中で、主要な論点となっていたのは、ものづくり学校自体の事業性や後継事業の内容で、校庭の現況はフォーカスされていない様子も窺える。つまり、単なる旧池尻中「跡地」として扱われ、現に小学校の校庭として学校授業や地域スポーツ団体の活動・イベント等に活用されているという点がきちんと認識されていなかった可能性が高い。


計画が見切り発車された場合の打ち手について


Q.予算がすでに可決されているため、これを確実に使用するために、見切り発車で使われないか、心配である。地域にとっても納得ができる案で進められれば良いが、強行された場合に阻止はできるか。


A.耐震工事の予算と、設計図作成の予算が可決されている。これらは今年度中に使用しないと失効するため、区としては使いたいというインセンティブがあり、これに対して区議会が待ったをかけている状態である。地域住民が賛同していないにも拘わらず進めようとする場合に阻止する方法としては再陳情書を出す方法がある。ただ、同じ内容だと採択されるのは難しいため、これまでの区議の意見、区との協議内容等を十分に踏まえ、的を得た内容の陳情書にする必要があり、また、他校のPTAの協力を得るなどして、より多くの賛同者を集めることがポイントになってくる。


区が計画を無理やり進める可能性について


Q.区が計画を無理やり進めることはないか。


A.通常の区民の一般的感覚としては、地域の賛同がないままに計画が強行されることはないと期待したいところだが、最終的には区長次第。区の担当者としては押し切ってきそうな勢いがあり、若干懸念している(以前に比べると対話の姿勢は示されているが)。再陳情を出した場合、一定の効果はあるが、それがどこまで効果的かどうかは不透明。時期が経過し、区の態度が硬化する可能性もありうる。


校庭整備工事の予算について


Q.校庭整備工事の予算は不成立という理解で良いか。


A.芝生を剥がして新しい運動場として整備する予算(6200万円)については、教育委員会の今年度予算の一部として可決済みである。


境界壁の設置工事に係る予算について


Q.境界壁の設置工事に係る予算自体を成立させないという方法はないのか。


A.その予算については、2023年1月頃に区が区議会に提出される予定なので、それ自体を阻止するという方法はある。ただ、境界壁の設置に関する設計作業が完了してしまうと、その予算の提出自体を阻止するのはより困難になる。よって、設計に入る前段階での対話が重要になってくる。


そもそも事業者は、応募が見込めているのか


Q.「区での方向性は(四つのプラン、キッチンカーなど)あるものの、全ては業者が決まってからで、その後で跡地の利用計画は決まる」というご説明だったが、そもそも事業者は応募が見込めているものなのか。住宅地であるし、小学校隣接で制約も多く、駅からも遠く、旨みのある土地利用ができるとは到底思えないが。


A.サウンディング調査の段階では多くの企業が参加されていた模様である。推測だが、都心からの距離やネームバリューに加え、運営企業への貸与条件が、校庭、校舎、体育館を合わせて、100万/月という破格の価格設定であることが理由としてあると思われる。ものづくり学校の実績でいえば、年間収入が億を超えており、差益は事業費名目で費消されているが、具体的用途が示されておらず、かなり旨味のある運営事業といえる。(参考資料

次に、運営事業者が募集するテナントについては

  • 賃料で言えば。相場よりも格段に安く借りられる(それでも運営事業者は十分儲かるため)

  • 本社が世田谷区に存在する、というステータスが得られる

  • イベントなどの集客を運営事業者が行ってくれる

などのメリットが大きく、一定の応募は見込めると考えられる。


区ではもう既に、事業者の「あたり」のようなものをつけているのか


Q.他校の廃校事例と比較し、この事業はいささか「もう計画ありき」で進めているように感じる。区ではもう既に、事業者の「あたり」のようなものをつけているのか。


A.公式には(当然だが)何も決めていない、との回答があったが、(恐らくは非公式に)事業者との意見交換は継続して行っている雰囲気はあり、まるで目星がついていない様な状況ではないと推察している。


跡地問題をこどもたちの社会勉強の機会とする案について


Q.こどもたちにとっての身近な場所での、この跡地問題は、せっかくの社会勉強の機会ではないか。例えば、こども達限定の住民説明会の開催や、業者選定委員会の見学、境界フェンスのデザイン案の選択など、こどもの社会勉強になる機会を区に作ってもらえないのか。


A.まず、この要望を区が実施できるか、という観点で、現状の様な地域住民との調整けで紛糾している中で、子どもたちからの意見集約やフォローまでは実現されない可能性が高い。また、別部門(例えば教育委員会)による介入も、これまでの縦割りでの進め方をみていると難しいと思われる。しかしながら、実は、有志メンバーも、ほぼ同様のことを考えていた。2022年2月に「子どもたちに何も周知されずに、突然工事が開始されることのないよう、計画案の周知」「計画案について、子どもたちそれぞれがどの様な意見を持っているか、クラス内の意見交換」などの機会を設けられないか、を前校長先生にご相談したが「きちんと子どもたちに計画を理解させ、まともな議論を行うことは非常に難易度が高い」「授業時間が削られている中、また、教員の負荷状況から、帰りの会などを含め対応ができない」ということでお断をりされている(すくなくとも周知だけは強く要望し、朝会で校長先生からのお話の一部として、計画があることは周知いただいた、という経緯)池尻小学校の子どもたち全員に関わることであり「できれば学びの機会に」という観点は引き続き方法を模索していきたい。